1.商品知識やサービスの普及といった広告塔の役割
NPO法人のメリットの一つである「会社とは違ったイメージの良さ」を利用したNPO法人の活用法です。
例えば企業名で商品の展覧会を開いたとしましょう。この場合、消費者は、- 「展覧会に行くと何か買わされそう」
- 「何も買わずに帰るのは気まずいよな・・・」
といったマイナスの考えを心のどこかに抱いてしまいます。どれだけ魅力的な商品でも消費者は足を運ぶことに躊躇してしまいがちです。
しかし、こういった展覧会・展示会をNPO法人で行うと、どうでしょうか。- 「NPO法人は非営利団体(お金儲けはしない団体)」
- 「NPO法人は何か良いことをしている団体」
- 「NPO法人だから営業されることもないだろう」
- 「NPO法人が宣伝するくらいだから良い物なのかな?」
会社名で広告活動を行うのとNPO法人で行うのとではかなり大きな差が生まれると私は考えています。
実際に弊社では皆様から依頼を受けて次のようなNPO法人を設立したことがあります。
◇ 防犯商品の普及・使用推進により「防犯に強いまちづくり」を推進するNPO法人 | |
NPO法人の20分野の活動の中のどれ該当するか? | 「まちづくりの推進を図る活動」 「地域安全活動」 「消費者の保護を図る活動」 |
設立目的 | ピッキングに強い鍵、窓ガラスに貼る防犯フィルム、護身用のスプレーや防犯ブザーなど各種防犯グッズの商品知識の普及活動を行い、最終的にその地区全体が防犯に力を入れている犯罪に強い街になろう、という趣旨で設立。 |
活動内容 | 防犯グッズの普及活動だけでなく、幼稚園・小学生を対象にした防犯講習会や女性を対象にした護身術修得セミナー、空き巣撃退セミナーなども開催。 |
実 績 | 小学生など低年齢層の連れ去り・誘拐未遂が続発しているため、PTAや私立学校、教育委員会から簡単に使える護身用グッズの注文や講演依頼を獲得。 |
NPO法人の設立者 | 防犯グッズ店の経営者 |
◇ 自然エネルギーの利用促進による環境保全推進NPO法人 | |
NPO法人の20分野の活動の中のどれ該当するか? | 「環境の保全を図る活動」 「消費者の保護を図る活動」 |
設立目的 | 太陽光発電システムや太陽光温水器、風力発電システムや雨水再利用システム、生ゴミ分解機など自然エネルギーを利用するシステムやリサイクルを促すシステムの商品知識の普及活動を行い、化石エネルギー燃焼による環境汚染やゴミ処理に使われる無駄な税金をなくすという趣旨で設立。 |
活動内容 | 太陽発電システムや風力発電システム・生ゴミ分解機など様々な自然エネルギー利用システムを導入したモデルルームを一般消費者に格安で提供。数日間過ごしてもらい、実際に使ってもらって、自然エネルギーの良さを実感してもらう。 |
実 績 | 会社名でも同じようなことをしていたが、NPO法人に移行してからの方が参加希望者が圧倒的に多くなった。 |
NPO法人の設立者 | 工務店の経営者 |
2.資格・実務能力の認定団体として利用
「1」 と同じく、NPO法人のメリットの一つである「会社とは違ったイメージの良さ」を利用したNPO法人の活用法です。
資格や実務能力の認定自体は企業でも任意団体でも可能です。しかし、財団法人や社団法人と同じ『公益法人』の一種であるNPO法人でされた方がイメージ的にも良いのではないでしょうか。
実際に弊社では皆様から依頼を受けて次のようなNPO法人を設立したことがあります。
◇ 医療・介護分野に携わる人材の育成を目的としたNPO法人 | |
NPO法人の20分野の活動の中のどれ該当するか? | 「保健、医療又は福祉の増進を図る活動」 「社会教育の推進を図る活動」 「職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動」 |
設立目的 | IT革命の波が、医療・介護福祉の分野にも押し寄せ、従来の教育システム・人材養成システムでは、近年急速に変革・革新を遂げている医療・介護福祉分野の技術進歩に十分に対応できていないのが現状である。そこで、医療福祉実務能力の研鑽の場の提供し、医療・介護福祉技術及びIT技術の進歩にも対応できる新しい医療福祉人材を養成することにより日本の医療・福祉の増進及び職業能力の開発に寄与することを目的とする。 |
活動内容 | 従来の国家資格・公的資格の枠にとらわれない柔軟な発想で、医療・介護の現場で本当に必要な人材を提供できるよう各分野のスペシャリストの養成に努めている。 |
実 績 | 「調剤の事務ができる人が全く足りていない」「介護報酬を計算できる人が不足している」という現場の声を受けて、「調剤情報実務能力検定試験」の実施や介護報酬請求の通信教育を実施。実務能力を身につけた人材を社会に提供している。 |
NPO法人の設立者 | 医療・介護分野の専門学校経営者 |
3.本来のNPOの主旨である社会貢献・ボランティア色の強いNPO法人
「社会貢献活動を通じての企業アピール」ということです。一種の宣伝活動というと叱られるでしょうが、企業イメージがよくなるのは間違いありません。
社会貢献やボランティア活動は企業形態でも可能ですが、今までの会社のイメージに引きずられて自由な活動が出来ない場合があります。会社の利益でボランティアを行うわけですから、株主の反発もあるかもしれません。
そういったときには新たにNPO法人を設立し、設立趣旨・活動目的を明確化させ、会計的にも独立させて活動を行った方が運営側、そして参加者側、受益者側にとっても大きなメリットを生み出せる場合があります。
実際に弊社では皆様から依頼を受けて次のようなNPO法人を設立したことがあります。
◇ 災害復旧支援のNPO法人 | |
NPO法人の20分野の活動の中のどれ該当するか? | 「災害救援活動」 「前号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動」 |
設立目的 | 自分たちの特技を活かして社会貢献することはできないか? ということで設立。NPO設立と同時に社員のボランティア意識を高める為にボランティア休暇制度も会社に導入。 |
活動内容 | 建設会社なのでトラック・ダンプカー・ショベルカーなど建設重機を多数保有。人力戦術に頼っているボランティア団体には設備・能力的に難しい、地震・水害等大規模自然災害が発生したときの障害物・廃棄物除去にあたっている。 また、自治体からの依託を受け断水地域への給水も担当。他のボランティア団体にトラックなどの貸し出しも行っている。 |
実 績 | NPO法人が活動すればするほど自社名入りのトラックやダンプカーが走り回ることになるので、知名度・好感度アップに一役買っていると思われる。 |
NPO法人の設立者 | 建設会社の経営者 |
◇ 発展途上国や自然災害被災地・戦災地への物資援助 | |
NPO法人の20分野の活動の中のどれ該当するか? | 「環境の保全を図る活動」 「国際協力の活動」 |
設立目的 | 日本では「古すぎる」「流行が終わってしまって商品にならない」といった中古品(リサイクル品)でも、発展途上国では重宝される物が多い。よって、日本では価値のないもの(このままではゴミとされてしまうもの)を発展途上国に提供することによってリサイクルを促し、環境保全及び国際協力に寄与することを目的とする。 |
活動内容 | まだまだ使えるものだが、日本では「古すぎる」「流行が終わってしまった」という理由で商品にならない物を、アフリカなどの発展途上国や自然災害被災地に提供。 |
実 績 | 地元のマスコミに取り上げられ、知名度が上がった。それに伴い売上もアップ。「社会貢献している」ということで同業他社との差別化にも成功。 |
NPO法人の設立者 | リサイクルショップの経営者 |
◇ NPO法人を支援するNPO法人 | |
NPO法人の20分野の活動の中のどれ該当するか? | 「子どもの健全育成を図る活動」 「前号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動」 |
設立目的 | 経済的に困っているNPOが多いということで、NPOを支援するNPO法人を設立。 |
活動内容 | NPO法人を助成する基金を設置し、年1回一定額を助成している。対象は子育て支援を行っているNPO法人。 |
実 績 | NPO法人名に「○○○○夢基金」と自社名をつけ、知名度・好感度アップを図っている。 |
NPO法人の設立者 | 子供服販売会社 |
4.不採算でも社会的意義を前面に出して事業継続できる
収益性は低いが(場合によっては収益性がマイナスでも)公益性の高いプロジェクトがあったとすると、営利法人である本体企業では実行不可能ですが、NPO法人なら実行可能です。
通常の会社(営利企業)ではあまりに不採算な事業を行っていると株主や出資者から文句を言われてしまう可能性がありますが、企業がNPO法人を設立し、そのNPO法人に事業を委託してしまえばそう言った心配はありません。
以上、4つの例を挙げて企業がNPO法人を設立した場合の利用方法について説明させて頂きました。元になる企業が「どういったことをしているのか?」によってNPO法人の利用方法は大きく変わってきますが、NPO法人を設立することによって、どの企業も何らかのメリットを生み出すことはできると弊社は考えています。
弊社では「会社設立」と「NPO法人設立」を同時に依頼される方が多いのですが、二つの法人の長所を合わせることによって
「1+1=2」ではなく、
「1+1=11」にすることが可能
だからなのです。
「私達の会社でもNPOを設立することによってメリットがあるのか?」という点はお問合せいただけましたら、無料でお答え出る範囲でご提案させていただきます。
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行政書士甲子園法務総合事務所 代表
【藤井 達弘】
起業支援コンサルタントとして皆様の会社設立をバックアップいたします。
詳細プロフィールはこちら
日本実業出版社の「経営者会報」に4ページにわたり、適正な資本金について執筆いたしました。
女性起業家や起業家のたまごなど、頑張る女性を応援するマガジン『Born to win』に掲載されました。