会社名義の銀行口座を開設しよう
法務局で登記簿謄本と印鑑証明書が取得できたならば、銀行で口座開設の手続を行いましょう。
会社設立時の資本金は社長になられる方の個人の銀行口座に振り込みましたが、これは会社設立前の応急的な措置です。会社が成立したならば、個人の口座と会社の口座はきちんと分けて管理しなければいけません。
一番最初に口座を開設する金融機関は、ほとんどの人がそのまま「メインバンク」としてその金融機関と末永い関係を築いていくはずです。いずれは融資を申し込むケースも出てくるでしょう。また、担当者との信頼関係が深まれば、経営や税務のコンサルタントとしても金融機関を活用できます。主な金融機関の特徴 は以下のようになります。
都市銀行 | 大都市に営業基盤を置き、全国に支店網をもつ銀行です。大企業との取引を中心としています。コンサルタントとしての経験も豊富で、広範な情報にも通じています。 |
地方銀行 | 地方都市に営業基盤を置き、一定の地域に特に力をもつ銀行です。主に中堅・中小企業を取引相手としています。 |
信用金庫 | 一定地域内の中小企業を会員とする協同組織です。会員になるには少額の出資が必要で、融資対象は会員のみです(預金はだれでもできます)。 |
信用組合 | 地域の中小企業・住民でつくられる協同組織です。預金.融資とも組合員だけが対象となります。金利は割高ですが、小口の融資を受けやすいのが利点です |
郵便局 (ゆうちょ銀行) |
日本最大の金融機関?。現在のところ融資業務は行っておらず、売上の入金や家賃・公共料金の自動引き落とし程度しか活用できないが、支店数・ATM設置数では他の金融機関とは比べものにならない数があるので、民営化の内容次第では非常に使い勝手の良い金融機関に化ける可能性あり。 |
ネット専業銀行 | 「ジャパンネット銀行」や「楽天銀行」等店舗を持たないインターネット専業の銀行。「ソニー銀行」や「セブン銀行」のように法人口座を扱っていないところが多いが、「ジャパンネット銀行」と「楽天銀行」は法人名義で口座が持てます。振込手数料が他の銀行と比べて非常に安いのが魅力。弊社では、月に一度楽天銀行に数百万単位で入金し、取引先や従業員への給与の支払はすべて楽天銀行からの振り込みで支払っています。振込回数が多い会社の場合、これだけで月数万円節約できます。 |
どの金融機関をメインバンクに選ぶか?
金融機関を選ぶポイントは、- 会社から通いやすい場所か?(会社近辺又は通勤途中で便利など)
- 親身に接してくれるか?(一番大切)
- インターネットバンキングなどインターネットで24時間お金の出入りが管理できるサービスを実施しているか?
最近では都市銀行や地方銀行も中小企業の取引に力をいれており、信用金庫より親身でないとはいいきれませんが、「親身」という点でいえば、やはり地域に密着した信用金庫や信用組合を選ぶのがよいといえます。
あと(3)のインターネットバンキングのサービスも重要です。
24時間パソコンさえあれば入金を確認できるというのは非常に便利です。取引先への振り込みも銀行に行かなくてもできます。メインバンク選びで迷ったときは「インターネットバンキング」のサービスで選んでみてはどうでしょうか。
なお、インターネットバンキングについてですが、個人の銀行口座ならば使用料は無料の銀行が圧倒的に多いのですが、法人名義の口座になると有料となる銀行が大多数を占めます。利用金額も数段階に分かれてプランが用意されています。使用料が高額になればなるほど多機能になっていきます。
ただし、会社設立当初は「一度に数百人に給料を振り込む」といった事態はおそらく発生しないと思われますので、一番安い料金プランのものでも十分だと思われます。また、利用可能時間も「24時間いつでも利用可能」ではなく「午前●時〜午後×時まで」というように制限しているところが多いです。
ちなみに弊社は「兵庫信用金庫」という信用金庫をメインバンクとしています。
理由は・・・
1.事務所から店舗が近い
2.いつ行っても空いている
(大手都市銀行みたいにATMを使うだけなのに並ぶ必要がありません)
だからです。
※利用し始めてから「インターネットバンキングの手数料が安い」「利用時間が他行より長い」「インターネットバンキングの画面が見やすい」などのメリットに気がつきました。気に入っているので10年以上ずっとメインバンクとして利用しています。
会社立ち上げ時はほとんどの方が「御自身お一人」ですべての業務・仕事をこなされると思います。私も事務所開設当時は一人ですべてのことをこなしていました。
そんな忙しいときに「通帳を記帳するだけ」「お金を出し入れするだけ」の用事で銀行に長期間拘束されたくありません。
なので、同じような距離に大手都銀が二行ありましたが、あえて信用金庫を選びました。
金融機関口座の開設方法
個人で口座を開設するのと同じで、口座を開設したい店舗まで足を運び、「会社名義で普通預金の口座を開設したいのですが、、、」と要件を伝えると、担当者が出てきて、専用の窓口に案内されます。(余談ですが、法人窓口は個人窓口と異なり豪華な作りとなっていることが多く、ちょっとだけ優越感に浸れます)
あとは個人で開設するのと一緒で、口座開設申込書に必要事項を記入すればOKです。
口座開設時に持っていく持ち物ですが、- 会社の登記簿謄本
- 会社の定款
- 銀行印に使用する印鑑
- 会社の印鑑証明書
- 会社実印(代表印)
- 身分証明書(車の免許証など)
の提出を求められることもありますので、金融機関に出かける時は用意しておくとようにしましょう。
参考までに・・・口座開設の際に金融機関の担当者に「面談」されることもある!
個人で銀行口座を開設するのとは大きく異なり、会社で口座を開設するときはいろいろと会社のことを聞かれます。(このことを弊社では「面談」と呼んでいます)。
私自身、いろいろな銀行の支店で法人口座の開設に携わったことがありますが、都心部の大きな支店よりも、住宅地の中にあるような金融機関の支店の方が、聞いてくる度合いが高いような気がします。(大きな支店では忙しすぎてそんな時間がないのでしょうか?)
この面談で担当者に質問されることは以下のようなことです。(金融機関によって多少差はあります)
- 代表取締役の氏名・住所・生年月日・経歴など基本事項及び、過去に不渡・ローン・クレジットの延滞等がないか?
- 会社の設立地、資本金の額、事業内容など
- なぜこの支店に口座を開設したいのか?
- どの程度この金融機関と取引をしてくれるのか?
(公共料金の引き落とし、給料の支払い、定期預金、インターネットサービスなどどれぐらいこの金融機関を利用してくれるのか?)
- この人は信用をおける人か?
- なぜこの金融機関を選んだのか?
- 何をする会社?
- どの程度付き合ってくれるの?
中には「よほど会社の口座を作られるのがイヤなんだな」と思ってしまうぐらい担当者が渋い顔をするところもあります。そういうときは他の金融機関又は同じ金融機関でも他の支店で開設しましょう。
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行政書士甲子園法務総合事務所 代表
【藤井 達弘】
起業支援コンサルタントとして皆様の会社設立をバックアップいたします。
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日本実業出版社の「経営者会報」に4ページにわたり、適正な資本金について執筆いたしました。
女性起業家や起業家のたまごなど、頑張る女性を応援するマガジン『Born to win』に掲載されました。