少額出資でも経営権は握れます!

前のページでも解説していますが、株式会社は株券の保有枚数にて議決権の数が決定するのが原則です。
Aさんが100万円、Bさんが500万円出資して資本金600万円の株式会社を設立したとしましょう。社長はAさんがなるとします。
株券の価格を1枚1万円とすると、
   ・Aさんは株券を100枚、
   ・Bさんは株券を500枚
持つことになります。つまり、議決権の数は「Aさん100個」「Bさん500個」です。

株式会社は株主総会にて、
   「誰を役員にしようか?」  とか、
   「定款をどのように変更しようか?」
といった会社の重要事項を決めていくことになるのですが、社長であるAさんより、Bさんのほうが多くの議決権を持っています。これではAさんの意見は何も通りません。社長はAさんでも、実質上会社の経営権はBさんが持っているということになってしまいます。AさんはBさんの顔色を見ながら会社経営を行っていくことになりますし、Bさんがある日突然「社長になりたい」とつぶやいてしまうと、本当に社長が交代してしまうという事態が起こってしまうのです。

株式会社はこのように「お金を多く出した人」ほど多くの議決権が与えられる「お金持ちが得する会社」形態となります。かといってAさんも好き好んで100万円しか出資していないのではありません。お金がなくて100万円しか出資できなかったのです。低資本の出資で我慢されている社長さんは皆Aさんと同じ理由だと思います。

ではこのAさんを救う方法はあるのでしょうか? Aさんに安定した経営権を与える為の秘訣は存在しないのでしょうか?

実はあるんです。
低額出資の社長さんに安定した経営権を与える方法が!

違法な方法ではなくきちんと会社法にて定められている合法的な方法です。
そのウラワザをここで紹介していきましょう。


<ウラワザその1>

Aさんの議決権を100倍にする方法

株式会社を設立する際に「定款」という会社の決まり事をズラズラズラッと記載している文章を作成するのですが、その定款の中に、

当会社の発起人である「Aさん」が有する株式については、1株につき100個の議決権を有するものとする。

と記載します。(「Aさん」の部分には藤井達弘というように個人名を記載してください)
これだけでAさんの議決権は100倍になります。

Aさんは100万円の出資で100株の保有、100個の議決権でしたが、上記の規定により、1株に100個の議決権があることになりますので、
  100株×100個の議決権=10000個の議決権
となり、Bさんの500個の議決権を遙かに超える議決権を持つことが可能になります。


<ウラワザその2>

Aさんを「ワガママ」にする方法

先に述べている「議決権を100倍にする方法」だけで問題は解決してしまいそうな気もするのですが、上の方法だとAさんが何らかの事情で株式の保有数が激減してしまうとどうにもならなくなります(仮に1株だけになってしまうと100倍しても100個の議決権です)。また、上の方法はあくまでAさんの保有株式の議決権を100倍にするだけであり、次期社長候補である「Aさんジュニア」が保有する株式には適用されません。

子孫末代にまで経営権を確保させるには、「拒否権付株式」という株式を発行できるように定款に記載しておきます。具体的には、下記のように記載します。

第●条 当会社の発行する株式は、普通株式、拒否権付株式の2種類とし、それぞれの発行可能株式総数は、普通株式5000株、拒否権付株式1株とする。

第◆条 当会社が次に定める事項を法令又は本定款で定める決定機関で決議するときは、当該決議のほか、拒否権付株式を有する株主を構成員とする種類株主総会の決議を要する。
@発行可能株式総数、発行可能種類株式総数及び発行する各種類の株式の内容の変更
A事業の全部の譲渡、事業の重要な一部の譲渡、他の会社の事業の全部の譲受け、事業の全部の賃貸、事業の全部の経営の委任その他これらに準ずる契約の締結、変更又は解約
B解散
C組織変更、合併、会社分割、株式交換及び株式移転
D取締役の選任及び解任

上記のような規定を定款に記載しておけば、第◆条にて定めている項目の議決に関しては拒否権付株式を保有している株主の承諾がなければ、議決できないようになっています。何千株、何万株、何十万株も持っている大株主が賛成していてもたった1株の拒否権付株式を持っているAさんが賛成しなければ否決、という株式会社の大原則を覆すような超強力な株式です。ここまでAさんをワガママにしてもいいのか?と思うときもありますが、これも会社法にてきちんと定められている方法です。法律上は問題ありません。

この拒否権付株式は普通の株式と同じように他人に譲ることもできます。よって、Aさんが引退し、Aさんジュニアが社長になるときに譲ってしまえば、Aさんジュニアも同じ権限を行使することができるのです。なお、この「拒否権付株式」を保有している人が拒否権を行使できるようになりますので、自分の意図しない人に渡らないように細心の注意を払って管理してください。


デメリットも把握しておこう!

これらウラワザは経営権を長期間把握するには非常に便利な方法なのですが、デメリットも存在します。ウラワザの導入をお考えの方は下記のデメリットも慎重に検討してください。ウラワザを導入しなくても経営権を確保できる(株式の過半数を把握できている)ならば、ウラワザを導入しない方が後々の経営のことを考えると良い方向に動くのでは? と弊社では考えています。
(よって、議決権の過半数が通常の出資で確保できている方にはオススメはしません)

<デメリットその1>

第三者からの出資は望めなくなるかも?

自分以外の第三者の経営権を強烈に制限することになりますので、経営権に全く興味がなく「株式配当だけ受けられればよい」という方には何の問題もありませんが、多少経営に口出ししたいと考えている方は、おそらく誰も出資しません。


<デメリットその2>

議事録作成が面倒

役員の変更手続や再任手続、本店の住所移転や定款の事業目的変更手続など、登記簿記載の事項が変わると法務局での諸手続の為に株主総会議事録を作成することになります。
通常の株主総会の書式サンプルは、市販されている書類を参考にしたり、法務局のWebサイトなどからダウンロードできますが、ウラワザを導入すると、ちょっと変わった株式会社となってしまい、これら書式サンプルがそのままでは使用できなくなってしまいます。
変更手続そのものを専門家にずっと依頼し続けるならばあまり問題ないかもしれませんが、自分たちで行っていくとなると、パッと書類作成ができず、手間がかかります。


ウラワザを導入して株式会社を設立する場合は専門家に全てを任せよう!

特定の者が所有する株式の議決権の数を変更する株式(属人的株式)の導入や特定の議決内容を拒否できる株式(拒否権付株式)の導入は、定款にこれら事項を記載しなければいけません。1カ所だけ変える場合でOKなものもあれば、複数箇所変更しなければいけない場合もありますし、定款以外にも記載内容が変わる場合もあります。

会社設立本やWebサイトにて記載されている情報では、これら属人的株式や拒否権付株式を導入した会社設立手続はあまりにイレギュラーすぎて解説されていません。

間違いなく、確実に、しかもなるべく早く、こういったウラワザを導入して会社設立したい方は専門家に依頼されることをオススメいたします。

ちなみに甲子園法務総合事務所では、こういった属人的株式や拒否権付株式の導入が伴う株式会社の設立もプラス料金無しで対応しております。もちろん導入に関しての相談も無料です。

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    【藤井 達弘】
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