本社の場所のことを法律用語で「本店の所在地」といいます。本社の場所は日本国内ならばどこでもよく、1社に1カ所のみと決められています。

 会社の事業活動の本拠地というのが建前ですが、実際には登記した本店とは違う場所で主の事業を行っていても、許認可事業でない限り、特に差し支えはありません。借りた事務所を本店所在地にしておくと、移転のたびに定款の変更登記が必要になりますので、「おそらく変わらないだろう」という場所(自宅・実家の住所など)を本店所在地にしておくというのも、一つの考え方です。

 ただ、「会社の事務所は大阪市内だが、登記されている本店住所は実家のある東北の●●県」というのも登記簿謄本を取得したり役員変更の登記の時などに不便です(変更の際に法務局に足を運ばないといけない為。また税務申告を行う税務署も本店所在地を管轄する税務署となります)。
 このあたりは常識的な範囲で決定してください。

定款への本店所在地の記載方法

 本店の所在地のは定款に記載されるのですが、記載方法は2種類あります。

(1)町名・番地まで記載する

というように、所在地が具体的にわかるように住所を町名・番地まで記載します。

(2)最小行政区域を記載する

というように、最小行政区まで記載します。ちなみに最小行政区とは「市町村」及び「東京23区」と「政令指定都市の区」のことです。   

定款への本店記載方法はどちらが便利?

 (1)の方法で記載した場合は、本社を移転すると必ず定款の変更手続が必要になります。

 (2)の方法で記載した場合、最小行政区内の移転ならば定款の変更手続は不要です。

 将来同じ市区町村での移転を考えているならば、(2)の方法にしておくほうが便利です。ただ、合同会社の場合は、社員数(出資者数)も少ないと考えられますので、定款の変更手続が比較的簡単です(議事録に印鑑をもらう人数が少なくて済みます)。

 基本的には(1)の方法で定款にしっかりと住所を記載したほうがいいのではないでしょうか。(正直いってどちらでも構いません。お好きな方をどうぞ)

 なお、登記申請までには本店の町名・番地まできちんと所在地を定めなければいけません。定款で「町名・番地」まで定めていない場合は、設立登記前に社員(出資者)全員が集まり、本店所在地決定書を作成し、本店所在地を確定させる必要があります。


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