財産引継書を作成しよう
資本金の払い込みが現金だけの場合(現物出資がない場合)は、このページに書かれていることは必要ありません。次のステップに進んでもらっても結構ですが、現物出資がある場合は、その前にもうワンステップ必要になります。
現金のかわりに不動産や有価証券、 自動車、事務用機器などを提供して出資に替えることを、現物出資といいます。(「現物出資」の解説はこちら)
現物出資する社員は、現物出資する財産を会社の代表者(代表社員)に引き渡します。
財産の引き渡しは、現金による資本金の払い込みと同時に行います。といっても、現物をそのまま手渡すわけではありません。現物出資する発起人が代表社員に「財産引継書」を提出すれば、現物出資がなされたことになります。
この手続きによって、会社成立の日に、財産所有権が現物出資者から会社に移ります。所有権移転の登記、登録手続きは後日でも差し支えありません。
現物出資する社員は、財産引継書を2通用意して(1通は複写で可)、代表社員に提出します。このうち1通は設立登記の際の調査書の添付用、もう1通は会社の保管用となります。
現物出資には税金がかかることを忘れずに!
場合によっては、代表社員に就任する本人自身が現物出資をする場合もあるでしょう。このときは、「社員藤井達弘が代表社員である藤井達弘に財産を引き渡す」ということになり、自分から自分への財産引継書を作成します。
現物出資の内容や発起人の住所などは、定款にも記しているはずですが、定款の内容と財産引継書の内容とは、必ず一致するようにしなければなりません。
また忘れてならないのは、出資した財産にかかる税金です。現物出資は出資者個人から会社への「譲渡」となります。
例を出して解説してみましょう。
Aさんが、所有する自動車を、100万円で、設立する合同会社に現物出資をしたとしましょう。この場合、税務上は、
(ア)Aさんが所有する自動車を、50万円で売却し、
(イ)この50万円を設立する合同会社に出資して、
(ウ)出資を受けた合同会社は、50万円でAさんの車を買い戻し、自社のものにする。
という手続を行ったのと同じ扱いになります。
なので、
(ア)の時点で、自動車売却益に対して、Aさんに所得税が課税され、
(ウ)の時点で、自動車を取得した会社に対して、自動車取得税等が課税される
ということになります。
上記は不動産の現物出資でも同じです。現物出資を行う場合は、現物出資した社員に対しては「譲渡所得税」がかかり、会社に対しては「不動産取得税」「(不動産、自動車の)登録免許税」「固定資産税」などがかかる場合があることを忘れないようにしましょう。
次のページは、
現物出資財産がある場合はプロに任せた方が断然お得!
現物出資がある場合は上で述べているように財産引継書の作成が必要です。
それだけではなく、現物出資があると、
- 定款の記載内容が変わったり
- 財産引継書が必要になったり
- 調査報告書が必要になったり
ちょっと大きな書店に行くと「会社設立」のマニュアル本が山のように売られているのですが、ほとんどが「金銭での出資」について説明したものであり、「現物出資」の方法を解説したマニュアル本はほとんど存在しません。
よって、手慣れた人が書類を作成・準備するのならともかく、はじめての人が一からすべて間違いなく手続を進めることははっきり言って無理です。
苦労して書類を一から作り、法務局で何度も手直しをさせられて、やっと設立登記が完了した合同会社というのも、「自分が設立した」という愛着が湧き、いいとは思いますが、このWebサイトを見られている方は「会社を作ること」が商売ではないはずです。設立した会社で事業を興すことが本業ではないでしょうか?
会社設立手続に時間をかけるならば、設立後の事業準備のために時間をかけられた方が設立者・そしてそのサービスを受ける消費者にとっても利益となると思われます。
甲子園法務総合事務所では、「金銭出資」の方法だけでなく、「現物出資」を取り入れて会社を設立される方のコンサルティングも行っております。是非ご利用下さい。
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行政書士甲子園法務総合事務所 代表
【藤井 達弘】
起業支援コンサルタントとして皆様の会社設立をバックアップいたします。
詳細プロフィールはこちら
日本実業出版社の「経営者会報」に4ページにわたり、適正な資本金について執筆いたしました。
女性起業家や起業家のたまごなど、頑張る女性を応援するマガジン『Born to win』に掲載されました。